●ブルーラジカルって何?
重度の歯周病に対する効果を厚生労働省も認めた、世界初の歯周病治療器で、2024年1月から販売が開始されました。
そもそもは東北大学の補綴科が開発したものです。
なぜ、詰め物や被せ物を専門とする補綴科が歯周病治療器を開発したのか?というのには面白い経緯があり、自分たちが作った補綴物が歯周病によって使えなくなってしまうことに我慢ならず、専門外にも関わらず開発に至ったそうなのです。
ブルーラジカルは厚生労働省の基準により、製造環境や治験データにおいて器械の安全性を審査された結果、歯周治療・歯周ポケットの殺菌・スケーリングの器械として認可を受けました。
従来の歯周病の治療では、超音波の振動により歯石や歯垢を除去し、歯周ポケットが深い部分はスケーラーという器具を使ってクリーニングしていました。
けれどもこの方法では取り残しが発生してしまうため、抗菌薬の投与が欠かせませんでした。
対してブルーラジカルは、超音波振動に加えて、過酸化水素とレーザー照射によるラジカル殺菌を行い、虫歯や歯周病を引き起こす口腔内の細菌を99.99%殺菌します。
しかも人体に影響はありません。
中度~重度の歯周病の方に非常におすすめです。

●3DSの限界…他に方法はないのか?
重症化した歯周病の治療には外科的処置『麻酔→切る→搔破→縫う』を行いますが、侵襲が大きいうえ再発もありました。
またPDD(ペリオドンタル・ドラッグ・デリバリー)という歯周ポケットへの抗生物質の直接投与は、十分な効果が期待できない場合がありました。
抗生物質(塗り薬・飲み薬共に)の継続的な使用は、菌抗体現象が起こり、耐性菌がはびこってしまうため難しいのです。
そこで初声歯科クリニックでは、重度の歯周病の患者さんには3DS(デンタル・デリバリー・ドラッグ・システム)をおすすめしてきました。
3DSは外科的処置ではなく抗生物質も使わないため、体に優しい方法で、当院で提供した中ではある程度の成績が認められています。
けれども3DSによる除菌にも限界があることを感じており、それがなんといっても歯と歯茎の間の深い部分の除菌でした。
そこへ登場したのがブルーラジカルでした。

●実際に施術してみてどうなの?
「とにかくびっくり!!!」というのが感想です。
今まで経験したことのない、予想を超える治り方をするのです。
こんなに治っちゃうの。
こんなに治っちゃうんだ。
歯科衛生士と顔を見合わせてびっくりしています。
私も歯科衛生士も、これまで懸命にクリーニングし、治療をしても、悪くなってダメになって、救えなかった歯をたくさん見てきました。
ところがブルーラジカルを使うと、見事に、嬉しくて泣きそうになるくらい綺麗に治ってくるのです。
本当に恐れ入りました。
●患者さんの様子
ホープレスの歯が延命され、違和感なく使えるようになるので、とてもびっくり&喜ばれています。
外科的処置ではないので、これまでに何度も『麻酔→切る→搔破→縫う』を繰り返されている方は、体が楽だとおっしゃいます。
インプラント周囲炎にも有効なため、こんなに良くなるのなら、他の歯もやってもらおうとおっしゃる方もいます。
糖尿病は歯周病がノンストップで進んでいく病気で、糖尿病の患者さんは治療をしても予後が悪く、再発率が高いのが常なのですが、それもまたものすごい治り方をしました。
歯周病がぴたっと止まったのには、皆で目を見張りました。
歯周病が止まったことで糖尿病の状態にも変化が訪れるのではないかと考えており、その後のお話を聞くのを楽しみにしているところです。
●太鼓判!!!のブルーラジカルだが…
ブラッシングができていないと、効果が出にくいことがあります。
例えば、口腔内の右側と左側に歯周病の歯(バイキンの巣)があったとしましょう。
右側の歯だけブルーラジカルをやって、そこは綺麗に治りました。
けれどもしばらくすると左側の歯周病の歯からバイキンが戻ってきてしまって、また感染してしまうのです。
ですのでブルーラジカルは、口腔内の歯周病の歯、全部に対して一度に行う方が有効です。
けれども難しい場合もありますので、当院では歯ブラシ指導を必ず行っています。
ブルーラジカルをする前に、まず顕微鏡でバイキン観察をしていただき、何のためにブルーラジカルを行うのか、そして歯ブラシ指導を行うのか、しっかりと理解を深めていただいています。


ブルーラジカル、今後は根尖病巣に応用してみたいと考えており、また追記していきたいと思います。